朝起きたときに腰が痛いのはなぜ?考えられる原因と、今日からできる対処法

2026-10-26

「布団から起き上がろうとすると腰が重い」「顔を洗うころには楽になるのに、起きた直後だけつらい」。こうした経験をお持ちの方は少なくありません。朝の腰痛は、寝ている間の体の状態や環境が関わっていることが多い一方で、まれに受診したほうがよいサインが隠れていることもあります。この記事では、朝に腰が痛くなる主な理由と、自分でできる工夫、受診を考える目安を整理します。

朝に腰が痛くなりやすい主な理由

1、寝ている間に動かず、体がこわばる

睡眠中は、同じ姿勢のまま数時間を過ごします。筋肉や関節があまり動かず、血流も日中よりゆるやかになるため、起きた直後は腰まわりがこわばって痛みとして感じやすくなります。動き始めて少し経つと楽になる場合は、この「動かなかったことによるこわばり」が関わっていることが多いと考えられます。

2、椎間板の状態が朝は変わる

背骨の間にあるクッション(椎間板)は、日中は体重で押され、夜に横になっている間に水分を含んでふくらむといわれています。[1]その影響で、朝は前かがみになったときなどに腰へかかる負担が日中と違って感じられ、痛みやこわばりが出やすい方がいます。

3、寝具や寝姿勢が体に合っていない

体に合わないマットレスや枕、腰が反りすぎる・丸まりすぎる寝姿勢は、一晩かけて腰に負担をかけます。柔らかすぎて腰が沈む寝具も、硬すぎて腰が浮く寝具も、人によっては朝の痛みにつながります。「硬いほうがよい」と一概には言えず、自分の体に合っているかどうかが大切です。[2]

4、冷え・睡眠の質・ストレス

寒い季節は冷えで筋肉が緊張しやすくなります。また、睡眠不足やストレスは痛みを感じやすくする要因になるとされています。[3]眠りが浅いと筋肉の緊張が抜けにくく、朝の痛みにつながることもあります。

5、病気が関係している場合

朝のこわばりは、椎間板の傷みや背骨の変形といった加齢に伴う変化のほか、炎症が関係する病気(脊椎関節炎など)で目立つことがあります。たとえば、比較的若い年代から続く、動くと楽になり安静では改善しにくい、明け方に痛みで目が覚める、朝のこわばりが30分以上続く[4,5]、といった特徴がある場合は、一度医療機関に相談してみましょう。

痛みの出方で見分けるヒント

朝の腰痛といっても、痛み方はさまざまです。起きてから30分ほどで楽になり、日中は気にならない場合は、寝ている間のこわばりや寝具の影響が中心であることが多いでしょう。反対に、動いても楽にならない、日を追って強くなる、片側の足にしびれが広がるといった場合は、神経や背骨の状態を確認したほうが安心です。[6]いつ、どんな動作で、どのくらい続くかをメモしておくと、受診時に医師へ伝えやすくなります。

寝る前にできる準備

朝の状態は、前の晩の過ごし方にも左右されます。就寝前にぬるめの入浴で体を温める[7]、寝る直前のスマートフォンを控えて眠りの質を整える[8]、といった工夫も役立ちます。横向きで寝る方は膝の間にクッションを挟み、あお向けの方は膝の下に薄いタオルを入れると、腰の反りがやわらぎ楽になることがあります。

朝の腰痛をやわらげる工夫

・起き上がり方を変える:いきなり腹筋で起きず、横向きになってから肘をつき、ゆっくり体を起こします。

・布団の中で小さく動く:膝を軽く立てて左右にゆっくり倒す、足首を動かすなど、無理のない動きでほぐしてから起きます。

・温める:起床後にシャワーや入浴、カイロなどで温めると、筋肉がゆるみやすくなります。[9]ただし、温めて痛みが強くなる場合は中止してください。

・寝具を見直す:寝返りが打ちやすいか、腰が沈みすぎたり浮きすぎたりしていないかを確認します。

・日中に適度に動く:痛いからと動かずにいると、かえってこわばりが強まることがあります。無理のない範囲で歩くなど、体を動かす習慣をつくりましょう。[6]

こんなときは早めに受診を

次のような場合は、医療機関に早めに相談してください。[6]

・足のしびれや、力の入りにくさがある

・排尿・排便の異常がある

・発熱や、原因のわからない体重減少を伴う

・じっとしていても強く痛む、痛みで夜中や明け方に目が覚める

・転倒や打撲のあとから痛みが出た

・痛みが数週間以上続く、または悪化している

朝の腰痛は、寝ている間のこわばりや寝具・寝姿勢、冷えやストレスなど、日常の要因が重なって起こることが多い症状です。起き方や寝具、生活習慣を少し見直すだけで、楽になる方もいます。一方で、しびれや強い夜間痛など気になるサインがあるときは、自己判断せず専門家に相談することが大切です。

 

※効果や経過には個人差があります。この記事は一般的な情報であり、診断や治療に代わるものではありません。

参考文献

[1] Adams MA, Dolan P, Hutton WC. Diurnal variations in the stresses on the lumbar spine. Spine (Phila Pa 1976). 1987;12(2):130-137.

[2] Kovacs FM, Abraira V, Peña A, et al. Effect of firmness of mattress on chronic non-specific low-back pain: randomised, double-blind, controlled, multicentre trial. Lancet. 2003;362(9396):1599-1604. doi:10.1016/S0140-6736(03)14792-7

[3] Finan PH, Goodin BR, Smith MT. The association of sleep and pain: an update and a path forward. J Pain. 2013;14(12):1539-1552. doi:10.1016/j.jpain.2013.08.007

[4] Sieper J, van der Heijde D, Landewé R, et al. New criteria for inflammatory back pain in patients with chronic back pain: a real patient exercise by experts from the Assessment of SpondyloArthritis international Society (ASAS). Ann Rheum Dis. 2009;68(6):784-788.

[5] Rudwaleit M, Metter A, Listing J, Sieper J, Braun J. Inflammatory back pain in ankylosing spondylitis: a reassessment of the clinical history for application as classification and diagnostic criteria. Arthritis Rheum. 2006;54(2):569-578.

[6] 日本整形外科学会, 日本腰痛学会 監修. 腰痛診療ガイドライン2019(改訂第2版). 南江堂; 2019.

[7] Haghayegh S, Khoshnevis S, Smolensky MH, Diller KR, Castriotta RJ. Before-bedtime passive body heating by warm shower or bath to improve sleep: a systematic review and meta-analysis. Sleep Med Rev. 2019;46:124-135.

[8] Chang AM, Aeschbach D, Duffy JF, Czeisler CA. Evening use of light-emitting eReaders negatively affects sleep, circadian timing, and next-morning alertness. Proc Natl Acad Sci U S A. 2015;112(4):1232-1237.

[9] French SD, Cameron M, Walker BF, Reggars JW, Esterman AJ. A Cochrane review of superficial heat or cold for low back pain. Spine (Phila Pa 1976). 2006;31(9):998-1006.

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